マイクロチップの使用による安全性を確認するための検証方法は、以下の通りであ
る。
(1) 新規に捕獲したクサガメ全てについてコイン投げを行い、その表裏によって
「穴あ
けグループ」と「マイクロチップ埋め込みグループ」に分ける。
「穴あけグループ」
は従来通りの方法でドリルで縁甲板に穴をあける。
「マイクロチップ埋め込みグルー
プ」は、先述の部位にチップを埋め込み、
その後の処理としてオオサンショウウオの
例にならって外科用の瞬間接着剤を
塗布する(脚注4)。
(2) 後日の調査で再捕獲したカメの番号をチェックしていく。
「マイクロチップ埋め込
みグループ」については、チップの脱落がないかどうか、
リーダーをかざしてID番号を読み取り確認する。
(3) この作業を長期間
続けて再捕獲率を比較する。
カメが何らかの原因で死んだ場合、死体が発見されるこ
とは稀であるし、
死体が発見されても死因を特定することは困難だと考えられるので、
再捕獲率によって生存率(死亡率)を比較するのである。
もちろん再度捕獲されなかっ
たからといって、死んだとは限らない。
調査地域の外に移動したり、単に隠れるのが
非常に上手いという可能性もある。
しかし、そのような理由で再捕獲できないカメの
割合は、「穴あけグループ」のカメも「マイクロチップ埋め込みグループ」のカメも
同じだと考えられる。
したがって、もしマイクロチップを埋め込むことによる命の危
険がなければ、
再捕獲率はどちらのグループもほぼ同じになると推測される。
「和亀保護の会」ではフィールドでのマイクロチップの埋め込み作業に先だって、
姫路水族館の好意により実習を行い、実際の作業について専門家の手ほどきを受けた。
そして2004年9月13日から実際に埋め込み作業を開始した。
2004年12月19日
までにコイン投げの方法でグループ分けしたクサガメの総数は69頭、そのうち縁甲
板穴あけグループが28頭、マイクロチップのグループが41頭であった。それぞれ
について再捕獲ができたクサガメは縁甲板穴あけグループでは13頭、マイクロチッ
プのグループでは19頭で、再捕獲率はそれぞれ46、4パーセント、46、3パー
セントであった。そのうち死亡が確認されたのはマイクロチップグループの
1頭であり、それも交通事故による死亡であった。マイクロチップの脱落も皆無であった。
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